労働基準法をわかりやすく解説|社労士による全条文体系ガイド
労働基準法とは
「労働基準法」とは、労働条件の最低基準を定めた法律です。また、「労働条件」とは、労働時間、休憩、休日、休暇、賃金、退職、解雇など、労働に関連するルールのことを言います。
労働基準法では、それぞれの労働条件の最低基準が定められていて、会社はその基準をクリアする必要があります。
労働基準法では他にも、採用や解雇する場合の手続き、従業員が業務災害に遭ったときの災害補償、年少者や妊産婦の保護、違反行為に対する罰則等についても定められています。
労働契約の関係においては、一般的に会社の方が強いので、労働基準法では、従業員を保護する内容、つまり、会社に対して義務付けたり、制限したりする内容が大部分を占めています。
なるほど労働基準法
労使間でトラブルが生じたときに、会社が対応を間違えると、従業員が労働基準監督署に駆け込んだり、弁護士や労働組合に相談したり、裁判に訴えたりして、問題が表面化することがあります。
もし、会社が違法行為をしていなかったとしても、トラブルが表面化すると、会社は費用や時間を失うだけで、得るものは何もありません。トラブルが大きくなる前に、必ず、その予兆(従業員から相談・要望・苦情など)があります。会社は、予兆の段階で解決することが大事です。
従業員から労働基準法に関連する相談等があった場合に、会社が法律違反をしていれば、是正する。直ぐに是正することが難しければ、計画的に改善する姿勢を示すことで、従業員から理解が得られるかもしれません。
場合によっては、従業員の勘違いということもあるでしょう。労働基準法では、原則的な取扱いと例外的な取扱いが定められていますので、どちらを適用するのかによって、適法・違法の判断が異なります。
「なるほど労働基準法」では、労働基準法の全部の規定について、会話形式で分かりやすく解説しています。専門外の方でも理解しやすいように、専門用語はできる限り使用していません。予兆の段階で「なるほど労働基準法」を活用して、法律違反なのか、従業員の勘違いなのか、明らかにすればトラブルの拡大を防止できます。それは従業員にとっても有益なことです。
そして、会社の対応が正しいものであれば、従業員に労働基準法の規定を示して、「なるほど労働基準法」で行っている会話のように話を進めれば、納得してもらえるはずです。従業員から労働基準法に関連する相談等があったときに、役立ててもらえると嬉しいです。
なるほど労働基準法の構成
労働基準法には、採用から退職まで、労働条件の最低基準として様々な規定が設けられています。以下から、労働基準法の各分野ごとの解説ページに進めます。
- 労働基準法の原則(労働基準法の原則的な考え方、労働者の定義など)
- 採用(採用するときの手続き、有期労働契約の基準など)
- 解雇・退職(解雇の予告、解雇の制限、証明書の交付など)
- 賃金(賃金の支払い方法、平均賃金の計算方法など)
- 労働時間(労働時間のルール、様々な労働時間制度など)
- 休憩・休日(休憩の基準や与え方、休日の設定方法など)
- 残業・残業手当(割増賃金)(残業の条件、36協定、残業手当の計算方法など)
- 年次有給休暇(有給休暇の付与日数、取得義務など)
- 年少者(18歳未満の年少者の労働時間、最低年齢など)
- 妊産婦(女性)(産前産後休業、妊産婦の保護など)
- 職業訓練(職業訓練の特例、徒弟制度の弊害排除など)
- 災害補償(療養補償、休業補償、障害補償など)
- 就業規則(就業規則の作成、労働基準法との関係など)
- 寄宿舎(寄宿舎規則の作成、寄宿舎の設備及び安全衛生など)
- 監督機関(労働基準監督署の権限、監督機関の組織など)
- その他(労働基準法の実務上の義務など)
- 労働基準法違反(労働基準法違反に対する罰則、会社や社長の責任など)
最新法令に対応済み
令和8年(2026年)4月1日時点で、令和7年(2025年)6月1日施行の最新の労働基準法に対応済みです。実務に影響があった法改正でいうと、次の規定が当てはまります。
年次有給休暇の取得義務
2019年4月から、1年につき5日の年次有給休暇を取得させることが義務付けられています。
労働条件の明示事項の追加
従来から、従業員を採用するときは、雇用契約書や労働条件通知書を交付して、従業員に労働条件を明示することが義務付けられています。労働基準法の施行規則が改正されて、2024年4月から、労働条件の明示事項として、次の事項が追加されました。
- 就業場所の変更の範囲
- 従事すべき業務の変更の範囲
- 有期労働契約の更新の上限の有無
- 無期労働契約の申込み
- 無期転換後の労働条件
労働基準法施行規則の改正については、分量が多いので、こちらのページ(労働条件の明示事項の追加)で解説しています。なるほど労働基準法では、労働基準法施行規則の改正にも対応しています。
60時間超の時間外労働に対する割増賃金率
法改正によって、60時間を超える時間外労働に対する割増賃金率が150%に引き上げられて、大企業については2010年4月から既に適用されています。中小企業については、当分の間、適用が猶予されていましたが、猶予期間が終了して2024年4月から、150%の割増賃金率が適用されることになりました。
執筆者:社会保険労務士 木下貴雄【 登録番号 第27020179号 】
就業規則を専門とする社会保険労務士です。メールを用いた関連サービスは20年以上の実績があり、全国の中小零細企業を対象に、これまで900社以上の就業規則の作成・変更に携わってきました。
