問題がある就業規則の判定方法

問題がある就業規則の判定方法

  • 就業規則に問題がありそうかどうか判断できる簡単なポイントをお伝えします。

問題がある就業規則の判定方法

就業規則に関して様々な不安があると思います。

これまで数多くの就業規則を見てきた私の経験から、「この就業規則は大丈夫だろう」又は「この就業規則は問題がありそう」と推定できるポイントがいくつかあります。

就業規則の「採用時の提出書類」のページを開いてください。採用時に書類を提出した後に、改めて書類を提出させることができるようになっていますか?通常は、「提出書類の記載事項に変更があったとき」は、改めて書類の提出を義務付けていると思います。

例えば、通勤手当の不正受給の噂があったとします。

「提出書類の記載事項に変更があったとき」と就業規則に書いている場合に、会社からその従業員に、住所を確認できる書類(マイナンバーカードや住民票記載事項証明書)の提出を求めたとしても、従業員から「提出書類の記載事項に変更はありません」と言われると、会社は提出を命じる根拠がありませんので、住所の確認が難しくなります。

「提出書類の記載事項に変更があったとき」に加えて、「会社が必要と認めたとき」も提出しなければならないと書いていれば、通勤手当の不正の有無を確認するために、改めて書類(マイナンバーカードや住民票記載事項証明書)の提出を命じることが可能になります。

これは通勤手当の不正受給に限って言えることではありません。採用時の提出書類として定めているものは、会社にとって重要事項のはずです。必要に応じて、その都度、会社の判断で、事実と相違がないか確認できるようにしておくことが望ましいです。

規定例としては、「第1項(※採用時の提出書類)の提出書類の記載事項に変更があったとき、又は会社が必要と認めたときは、その都度2週間以内に届け出なければならない」のようになります。

“2週間以内に”という期限を設定していることもポイントです。万一、従業員が書類の提出を拒否したときの違反の有無が明確になります。その部分が“速やかに”となっていると、曖昧で指導もしにくいです。

リスクマネジメントの観点からお伝えしましたが、法改正に対応できているかどうかも重要です。

賃金規程の「割増賃金」のページを開いてください。

労働基準法が改正されて、中小企業についても、2023年4月から、月60時間を超える時間外労働をさせたときは、超えた時間に対して150%の割増賃金を支払うことが義務付けられるようになりました。

時間外勤務手当の計算式がそのようになっていますか?そのようになっていれば、問題はありません。

最後にもう1つ、育児介護休業規程を開いてください。

育児介護休業法が改正されて、2022年10月から、育児休業とは別に「出生時育児休業」が独立した制度として創設されました。父親が対象で、出産して8週間の期間内に4週間(28日)の範囲内で休業できます。

これに関する規定がありますか?「出生時育児休業」の規定を設けていれば問題はありません。

3つの事項を挙げましたが、いずれも問題がなければ、就業規則は他の部分も大丈夫(就業規則の診断は不要)と思います。対応できていない部分があれば、他の部分も同様に問題がありそうと言えます。

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